「肥料をあげる」ってどういうこと?
森の中では、落ち葉や虫の死体などを
虫や微生物が食べ、分解していきます。 これが 「栄養=肥料分」 です。
また、このときに、ミミズや虫が通ったあと
枯れた植物の根のあとなどが 「空気穴」 になり
ふっかふかの 「団粒構造の土」 ができあがります。
自然が 「栄養分 も 「団粒構造」 も作ってくれるのです。
これが 「健康な土」。 「健康な土」には、病原菌も害虫も寄ってきにくく、
植物もすくすく健康に育ちます。
ところが、市街地の庭や鉢植えではどうでしょう?
ミミズやおけらがほとんどいません。
鉢植えには皆無と言ってもいいでしょう。
虫もあまりいませんし、落ち葉は掃除してしまいます。
誰も、栄養分を作ってくれません。
さらに、生きもののいない土は、だんだん空気が抜けて固くなります。
どんどん、土がダメになってしまいます。
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そこで、鉢や花壇では、肥料をまいたり、 土をひっくり返して空気を入れたりする必要が出てくるのです。
つまり・・・「健康な土」には、肥料はいりません。
落ち葉が落ちて、ダンゴムシやミミズがたくさんいてくれるなら
「そのほうがいい」のです。
むやみに「お手入れ」をしすぎないことが ある意味コツです。
=ほったらかしでいい んですよ!
落ち葉は大事な栄養源。ヘンに取らずに「あったほうがいい」ものですし
ダンゴムシもミミズも いてくれたほうが「良い」んだということを
おぼえておきましょう^^
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肥料って何?〜有機肥料と化学肥料の違い
では、「肥料」っていったい、何なのでしょう?
有機肥料・無機肥料(化学肥料) ということばをよく聞きませんか?
何がどう違うのでしょう?
「有機肥料はいいって聞いたけど」
「化学肥料はいけないらしい」
なんて、耳にしているかもしれません。
でも、実際どういうものなのかって、分からなかったりしますよね。
ふたつの違いは、肥料を土に与えるときに 「有機物」で与えるか「無機物」で与えるかの違いです。
(*有機物のまま吸収するのではありません)
「有機物」とは、”炭素を含む化合物” をさしますが
簡単に言うと、 「動植物の身体からできているもの」 です。 生命のあるものやあったもの・・・
肉・魚・野菜・穀物・その加工品(みそ・しょうゆ・紙など)が「有機物」になります。
これに対して、「無機物」 は 「成分そのもの」
炭素・酸素・窒素・リン・鉄・亜鉛 ・・・ 生命体ではないもの、 金属・水・ガラスなどが「無機物」です。
わたしたちがビタミンを採りたい! と思ったときに、
「生野菜や野菜ジュース」で取る のと 「サプリメント」で飲む の違いみたいなものです。
・・・・サプリメントは、「悪い」ですか??
いちがいに 「有機肥料は良いもの、化学肥料は悪いもの」
と決めつける事はできません。
「サプリメント」だけで生活しよう、なんて、健康に良くないですよね?
植物も同じで、成分だけ与えるよりは有機物で与え
微生物に分解してもらうことによって微生物を増やし、虫を増やし、
「土を健康にする」と、花も元気に育ちます。
このため、「有機肥料のほうがいい」と言われているのです。
ですが、有機肥料は、いろいろ問題点もあったり(下記参照)、
含まれる成分にばらつきがあります。
お米だけ食べてもたんぱく質やビタミンが採れないのと同じように、
とれる成分が限られています。
そこで、不足する成分だけを補いたいときは化学肥料が便利です。
わたしたちが、野菜不足でビタミンが足りないからサプリを飲もう
というのと同じ感覚で考えると分かりやすいと思います。
化学肥料だけでは土がどんどん不健康になってしまいますが
だからといって化学肥料が悪いもの、ということではないのです。
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「肥料」の成分とは?
わたしたちの食事に必要な栄養に
炭水化物・脂質・たんぱく質・ビタミン・ミネラル があるのと同じように
植物も、必要な成分があります。
それが、 窒素(N) リン酸(P) カリウム(K) の3つです。
さっきの「わたしたちに必要な栄養素」 とは全然違いますが・・・
植物は、この3つの成分と光・そして空気から
炭水化物・脂質・たんぱく質・ビタミン を自分で作ることができます。
だから、これだけあれば大丈夫なのです。
* ミネラル(金属)はつくることができないので、補助として 鉄や亜鉛・ケイ素などを与えることもあります。
これを 微量要素 といいます
この3つの成分はそれぞれ
窒素 ・・・ 葉の成長に必要
リン ・・・ 花や実をつけるのに必要
カリ ・・・ 根の成長に必要 です。
この成分は、有機肥料でも化学肥料でも同じです。
有機肥料を与えたときも、微生物がその有機物を分解したあとの
無機物を植物は吸収しています。
成分そのものは、どちらで与えても変わりはありません。
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たくさんあげればいい? それは大きな間違い!
肥料が少ないと、よく育たないことは分かると思います。 「栄養失調」ですね。
ですが、肥料のやりすぎも育たない、という事には、なかなか気づきません。
わたしたち人間と同じで、栄養の過剰摂取=つまり、食べすぎ! は
身体に害を及ぼします。
人間で言ったら、成人病みたいなものですね。
過剰障害
窒素 が多いとどうなる??
窒素は、土の中で、 硝酸 か アンモニア になって吸収されます。
硝酸って、”酸”です。
漫画とかドラマとかで、身体にかかると身体が溶けちゃうアレです。
そんなのをやりすぎたらどうなっちゃうか・・・?
- 根っこが溶けてしまい、枯れる。
- 葉っぱは大きくなり色も濃くなるが、花が咲かない。
- 野菜の場合、「硝酸」 が溜まった葉は、食べたら当然毒。
- 土が酸性になり、害虫が寄ってきやすくなる
- 植物が弱り、病気にもかかりやすくなる
- 雨や水やりのたびに硝酸が地下に流れ出し、川や海を汚す。
- それは、酸性雨になって降ってくる。
- 水道水も汚れる。
いいことひとつもありません!
また、有機肥料を与えた場合、 窒素はいちどアンモニアになってから硝酸に変わります。
アンモニアも、たくさんたまれば毒ガスです。
やりすぎると、植物が枯れるだけでなく毒ガス発生源になってしまいます。
リン酸・カリウムが多いとどうなる??
日本の土はリン酸を吸着しやすいので、目に見える障害はありません。
でも、水を汚すのは同じ。
水質汚染は、水に含まれるリンの量で測ります。
カリウムも水によく溶けるため、植物には害が出にくいですが
水をよごすのでやめましょう><
ミネラル(微量要素)が多いとどうなる?
鉄・マンガン・亜鉛などの金属成分をとりすぎると、
葉がただれたり、縮れたり、黄色くなったり
新芽が枯れてしまったりして、育たなくなってしまうことが多いです。
肥料のやりすぎの害は、あまり目には見えてきません。
なので、ついつい、あげすぎてしまいがちです。
でも、あなたが鉢や花壇にまいた水は、また水道水になって戻ってきます。
川や海を汚せば、魚もいなくなります。
魚がいなくなれば、鳥もいなくなります。
それを食べる大型動物も、いなくなります。
「今、自分に目に見える害がないからいい」 なんて言わずに、
目に見えない 「毒」 があることをちょっと心の片すみに留めておいてほしいな、と思います。
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どんな肥料をどう使えばいい?
有機肥料の例
- 鶏糞 … 窒素(N):リン酸(P):カリ(K)=1:2:1(ほぼ理想的)
- 骨粉 … ほぼリン酸のみ
- 油かす … N:P:K=4〜5:2:1
化学肥料の例- 配合肥料(マグァンプなど) … 植物の種類に合わせて配合されている
- 鉄などミネラル補給用の活力材(栄養補助剤←これだけでは育ちません)
最近は、両方の「いいところ」をあわせた
有機肥料(米ぬか・魚粉・腐葉土などをバランスよくミックス)
+化学肥料でミネラル補給
のような、理想的に配合された肥料も売っています。
自分で配合するのは大変です!
もとから 「バランスよく配合された」肥料を使うことをおすすめします。
「油かす」「鶏糞」 などのほうが ”かっこよく” 聞こえるかもしれませんが
有機肥料には、
「これだけの成分が含まれているから、使用量はこうして下さい」
のような記述がないことが多く、普通に家庭で楽しむ人には向きません。
どのくらいあげたらちょうどいいか、書いてないのですから
あげすぎたり足りなくなったりしてしまいやすいのです。
これらは 農家さんやプロ並のガーデナーさん向けと割り切って
初心者用に配合され、 「成分はこれだけ入っています。使用量はこうして下さい」
と明記された肥料を使いましょう。
(配合肥料ならほとんど書いてあります)
肥料は、薬と同じように、使用量を守ること!
これが鉄則です。
与えすぎは毒になります!
* 最近は、売っている培養土にすでに肥料が混ぜてあるものもあります。 この場合は、肥料をあげないでください!
* 液肥も、書いてあるとおりに薄めて、書いてある間隔を守りましょう! 葉っぱにかかると枯れてしまいます。土だけに与えてください。
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補足・・・
* 有機肥料の問題点
1.未熟堆肥の障害
安い有機肥料の場合、中には品質の悪いものもあります。
そのひとつが、完全に分解していない堆肥。
落ち葉や糞などは、発酵・分解していく時に
熱とメタンガス を出します。
温泉地で、たまに爆発事故を起こすあのメタンガスです。
発酵・分解の終わっていない有機肥料を土の中に入れると
植物は熱とガスで死んでしまいます。
2.アンモニアガスの発生
たくさん与えると、分解の過程で大量のガスを発生することがあります。
3.原材料も悪いことがあります。
病気で死んだ生き物を使っていたり、 薬品漬けの生きものかもしれません。
こうした材料の場合、その成分を植物が吸ってしまいます。
食品やサプリメントを選ぶのと同じように、
「有機肥料なら何でも良い」のではなく、しっかりしたものを選びましょう。
* 土と肥料についてもっと詳しく!
こちらのサイトさんに、かなりいろいろ 「土と肥料の話」 があります。
「もうちょっと、聞いてみようかな」 と思ったら
ぜひのぞいて見てください。 ちょびっとムズかしいかもしれませんが・・・
あった! kcyの家庭菜園
Wikipedia 肥料
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