そもそも、「水やり」ってなんだろう?
「体のしくみ」のページにもあるとおり
お花は根っこだけでなく、全身から「水と空気」を吸っています。
自然の中では、水は雨が降ることによって得られます。
雨は、高いところから「ふるい」にかけられたように 粒となって落ちてきますから、
ケーキ作りの時に「ふるう」小麦粉と同じように、空気を含みます。
この「空気を含んだ水」が土の中に入り、 根に「水と空気」を与えています。
大地に雨が降る場合は、地表には植物が生えているし、 地平線の一面しか空気に触れていないので
一度土に入った「水と空気」が蒸発しにくくなっています。
ところが、鉢植えの場合は、 もともと土の分量が少なく、留めておける水の量が少ないうえに
鉢越しとはいえ、鉢の表面積の分だけ外気に触れるので 水が蒸発しやすくなっています。
だから、その分水を補ってあげないと足りなくなってしまいます。 これが水をあげる、ということです。
地植えにしてあるなら、よほど晴天続きで乾燥しない限り、 水やりはいりません。
もともと水やりは、天然の雨の代わりです。雨があるなら不要です。
また、「雨のかわり」ですから、水だけでは足りないのです。
「水と空気」 を補うのが 「水やり」 なのです。
「空気」もあげないといけないのです。
よくあるトラブル〜窒息と脱水症状
ではここで、よくあるトラブルを見てみましょう。
◇ 水をあげるのを忘れたら枯れてしまった。
こちらは、分かりますね。
のどがカラカラなのに水がない。
これは単に「干からびて」しまった状態です。
脱水症状にあたりますが、かえって人間よりわかりやすいですね。
お水がないと花が枯れる、ということは、知られていますから。
◇ 水をたくさんあげたのに、枯れてしまった。
こちらが問題です、本当に多いトラブルです。
ついつい、忘れがちなのですが、お花は根っこでも息をしています。
あなたも、のどが渇いたら水を飲みたいですよね。
でも、いくら「水がほしい」といっても、 プールの中に沈められてしまったらどうですか?
『冗談、息ができなくて、死んでしまいます!!』
お花も同じです。
根っこが水に沈んでしまっては、 窒息 してしまいます!!
もっと簡単に言うと、 溺れてしまう んです。
そして、酸素不足になった身体は腐ってしまいます。
これがいわゆる 「根腐れ」 ですが、根に限ったことではありません。 切り花 や 水耕栽培 の時も 同じ原因の失敗をしてしまうことがあります。
![切り花・水耕栽培](../image/garden/a4-2.gif)
・ 葉っぱや茎を水に浸してしまう ・ 根っこや球根を水に浸してしまう ・・・・・・
よかれと思ってしたことが、お花を苦しめてしまっているのです。
花は、鉢植えでも切り花でも水耕栽培でも、 水浸しにしてはいけません。
底穴のあいていない鉢に植えていたり、 鉢皿を敷いている場合は特に注意が必要です!
![ページ先頭へもどる](../image/main/icon-top.gif)
では、良い水やりとは?
まず、「雨で足りない分を補う」 のが 「水やり」 ですから、
0.土が乾いてから与える ことが前提です。
次に、与える目的がふたつあります。
1.水と空気を与える 2.古い水・空気と入れ替える
このふたつが適ったものが 「いい水やり」 です。 具体的に言うと、
土が乾いてから、ざーっと底から水が出るまであげ、水を切る。
![いい水やり](../image/garden/a3-3.gif)
わたしたちと同じように、花も、不要物を排せつしています。
土の中に、排せつした毒素や汚れ、二酸化炭素などがたまってしまいます。
水を鉢底から出るまであげることで、これらの汚れも流れ出し、 鉢の中がキレイになります。
水が少なめでも、育つには育ちますが、鉢の上の方にしか水がなくなるため
根っこが下に伸びずに上に向かってしまいます。 このため、ぐらぐらした株になってしまいます。(図の左側)
また、汚れが鉢の中にたまるので、病気になりやすくなってしまいます。
できるだけ、鉢底から出るまでたっぷりあげましょう。
★ POINT ★
・ 必ず、土の表面が乾いてから! 乾くと土が白っぽくなります。
指で触って、乾いたのを確認してからあげましょう。
・ 鉢底から出るまでたっぷり水をやる
・ 出てきた水を鉢皿に溜めないこと!!
・ 出てきた水を他の花にあげないこと!
======= プラスワンポイント =======
・ 花に水がかかると早く傷むので、
じょうろのシャワー口は外して、花でなく「土に」与える
・ 底穴のない器の場合は、「くし」を差して 水がなくなったのを確認してから与える
・ ↑ひっくり返せない場合は、 仕方ないので底1cmくらい溜まるくらい(「くし」で確認)
・ ↑「のりづけ」されててひっくり返せる場合は、 たっぷりあげてから水を捨てる
![穴なし](../image/garden/a4-1B.gif)
もうワンステップ!
基本的には「乾いたら」あげればいいのですが、
慣れてきたら、プラス 「この子どこの子??」 を考えてみましょう。
ちょっと早め: 湿地や日陰の植物
表面が乾ききるより前に与える (土を触ってみてちょっと湿気てるくらいで与える)
ちょっと遅らせる: 地中海・オーストラリア・熱帯雨林の植物
表面が乾いてからさらに1〜2日待ってから、与える (真夏は待ったら枯れちゃうのであげていいです〜)
かなり遅らせる: 砂漠の植物(サボテン・多肉植物)
5〜9月頃: 表面が乾いてからさらに3〜4日待って与える
(大体1週間〜10日に1回くらい)
4月・10頃: 水を減らし、乾いてから1週間は空ける
(2〜3週間に1度くらいにする)
11〜3月頃: 水をやらない。室内で特に乾燥する場合は
たまに霧吹きをするか、1ヶ月に1回くらい与える
* こんな水やり方法もあります *
底面潅水(ていめんかんすい)
シクラメンやセントポーリアで多く使われる方法。 水がかかると、葉や花、球根などが腐りやすい植物で よく使われます。
水を張った容器に鉢を沈め、30分ほど水を吸わせてから 水を切る方法です。
鉢が2重になっていて、下に水を入れれば吸い上げるように なっている様式の鉢植えももよく売っていますが、
下に満タンに水を入れたままだと窒息&腐ります!! ためる水は浅くします。(水をやって30ほどしたら減らすか切る) ===============
*よく聞く 土の”団粒構造”って何?*
団粒構造(だんりゅうこうぞう)
赤玉土のように、粒状になっていて、土の間に「すきま」が多く、 水と空気をたくさん含むことのできる土のことをいいます。
虫や微生物のたくさん住んでいる森では、 自然にこの構造ができあがりますが 鉢植えには生き物があまり住んでいません。
すると、土からだんだん空気がぬけてしまい、 酸欠で生育不良になりやすいのです。
団粒構造になっている土を買ってくるのが簡単です。
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