「お花の先生」になるためには(フラワーアレンジメント)
*ここでは、フラワーアレンジメントの先生のみの話です。 いけばなに関しては違う点が多いです、ご了承下さい。
「花の資格とは」のページでも書いていますが、 花の仕事に就くのに 「資格」 は必須のものではありません。
ただし、ここで言う「必須」とは、国で定められた義務として必要かどうか、 ということです。
つまり、 弁護士になるのに司法試験 医者になるのに医師免許 飲食店や食品加工なら食品衛生管理者
を取らなければ開業ができない、というような「必須要綱」です。 花の仕事にはこれがありません。
だから、小規模の 「個人事業」 であれば、 誰にでも、今日からでも、宣言一つでなれてしまう職業です。
名乗るだけでなることが可能です。
ただし、それはもちろん「法的」な、「紙の上」でのお話。
開業するのは簡単! でも・・・
実際には、ただ玄関に 「お花のお教室です」 と看板を掲げただけでは生徒さんは集まりません。
個人経営であれば、 「自分で営業活動をする」 ことが必要になります。
もちろん、そのための勉強や行動を起こさなくてはいけません。
また、「お教室」を選ぶ際に生徒さんがまず比較するのは 「先生の経歴」です。
ただ名乗っただけですと肩書きが何もありませんので、 頑張って営業しても思うように生徒さんは集まらないでしょう。
さらに、生徒さんが来てくれたとして、実際にレッスンしてみて、 あなたのセンスや教え方、アレンジの内容などがつまらなければ 生徒さんは当然、去っていってしまいます。
肩書きだけではなく実力も必要なわけです。
・・・となると、いくら「義務」ではなくても 「あった方がいいもの」があるわけです。
それは、あなたがまず 「お教室」 に通うこと。 又は、花屋などの実務経験があること。
ただし、この 「お教室」 選びは あなたが 「どうなりたいのか」 によって大きく変わってきます。
「どこのスクールに通ったらいいですか?」
というご質問がほんっとうに多いんですが、「アナタ次第」 なんです。
それを考えて行きましょう。
スクールや資格は何を選べばいいか?
「どのスクールを選べばいいですか」 「どの資格を取ったらいいですか」 という質問がたくさん来ます。
が、どうも、こう聞いてくる方は まずご自分が 「どうしたいのか」 が決まっていないことが多いようです。
決まっていないと、答えは出てきません。
資格やスクールの効果・利点はそれぞれに違います。 それを選ぶには、 「どうしたいのか」 が決まらないと、無理なんです。
「なりたいあなた」 にあわせて、それに効果的なスクールや資格を選ばないと意味がありません。
資格やスクールに 「どれが一番」 というものはありません。 どれも利点もあれば、役に立たない面もあります。
その「役立つ面」を自分の利点として使うための手段として資格やスクールがあるので、 「自分の利点にしたいこと」を先に決めないことには選びようがないんです。
ただ「お花の先生がしたい」 と軽く考えてはいませんか?
「花の先生」の仕事そのものは花の仕事としてはラクな方ですが、 別の意味で、花屋等に就職するよりずっと厳しいです。
なぜなら、あなたが 「開業者」である「自営業」なんですよ。
「開業する」ということをどの程度真剣に捕らえているのでしょうか?
ただ「お花の先生になりたいの」 と言うだけなら誰にでもできます。
実際に 「お花の先生を名乗る」 ことも名乗るだけですから簡単です。
でも、その後の事業計画はどうなっているのでしょうか?
どんな教室を開きたいのか、何を教えたいのか、 教室を開くまでに必要な金額と用意できるお金
自分の勉強にかけられる時間とお金・・・ 考えていますか?
何も考えず、ただ 『花の先生がしたい』 と言うだけの人が多いように見受けられます。
何の計画も見通しも目的もないのでは、 「目的のための手段」を選ぶスクール選びそのものがまず不可能ですし
開業だけしてみたところで実際仕事にはならないでしょう。
もっと、『事業主になる』ということをきちんと考えなくては始まりません。
「どうなりたい」のか、仕事のプランをもっと具体的に考えましょう。
予算や時間といった、自分の都合の要因も重要です。
形態は? 個人がいい / 大手スクールの名前を借りたい
スペースは? 自宅でやりたい / スペースを借りたい
レッスン&花代は? 〜3000 / 〜5000 / 〜7000 / 7000以上
カリキュラムは? なし / お免状用 / 法人資格用 / 海外資格用
スタイルは? ヨーロピアン / アメリカ / ダッチ / フレンチ 等
どうなりたい? 別に・・・ / 展示会くらいしたい / 有名になりたい
いくら稼ぎたい? 別に・・・ / 扶養範囲内 / ばりばり稼ぎたい
時間の猶予は? すぐに始めたい / 1年くらいなら / 余裕がある
お金の余裕は? かけられる / ある程度なら / 全然ない
等々・・・・・・
いくつでもいいですから、まずは挙げてみましょう。 それによって、進むべき道が見えてきます。
たとえば・・・
例1: 大手の名前を借りたい・稼ぎたい・有名になりたい
生徒集めがラクなように 「大手の名前を借りたい!」 場合は
もちろんこの大手のスクールに通って、ここのお免状と、法人資格を取らなければなりません。
(お免状と法人資格は別物です。詳しくは『花の資格』のページを)
また、分校として法人(または海外)資格を取れる教室にするならば、 あなた自身がまずその資格を取っていなくてはなりませんから
そうすると、その資格の最上級を取るまでに2〜3年、150〜200万円かかります。
ですが、開業後のレッスン代も花代込みで1回7000円くらいにはなりますので、 仕事としての利もよくなります。
また、有名校の名前という強大なコネ(バックボーン)のおかげで 生徒を集めやすいので教室を大きくすることができ、 有名になりたいとか、デザイナーとして独立していきたいとかいった目的にも 有利な道といえます。
例2: ただ楽しく自宅で優雅にやりたい
資格もなにも関係なく、ただ楽しく、季節の花をみんなで活けてお茶でも・・・
というような場合なら、同じスタイルの個人教室に通えばいいでしょう。
教室内でのお免状なら発行しているスクールなら、集客の肩書きには使うことができます。
(それ以上の業界での有用性はありません。詳しくは資格のページを)
気楽ですが、有名になるとか、稼ぎたいとかいった目的にはほど遠いので それを望むのならば大手の肩書きを取るべきです。
例3: 海外の資格を取りたい
アメリカやフランスの試験を受けるためのコースもあります。 もちろん、専門のスクールに通わなくてはなりません。
また、受験地は当地となりますから、語学もある程度必要でしょう。
海外留学したい、海外で活躍したいなどの目的があるならもちろんですが、
ご当地のアレンジを勉強したい、という場合も有効です。 (フレンチを専門的に学びたいならフレンチのスクール、という事になります)
また、自分の都合を重要視する場合は次のようになります。
例4: 今の仕事をしながら勉強して、いずれは・・・
この場合、別に仕事を続けていますのでお金も、時間の余裕もあります。 お金の余裕があればNFDの取得できるスクールがいいでしょう。
お金と時間がもう少し余裕がない、という場合はFDAという手もありますが、 のちのち、きちんとした仕事をしたいのであればNFDを選びましょう。
NFDであれば、もしも将来方向転換して、講師以外の花の仕事に就きたいと思った場合も損にはなりません。
(FDAは講師以外での有用性はほとんどありません)
例5: 仕事を辞めたので、とにかく早く動きたい!
短期集中のコースしかないです。
「短期と長期どっちがいいですか?」 なんて質問も来ますが、 これこそ自分の都合の時間に合わせて選ぶものです。
短期集中と週1回コースで内容が変わるということはまずありませんが、 スクールによっては多少差があるかもしれませんので くわしくは各スクールに聞いてみましょう。
例6: 時間はいいが、そんなにお金ないぞ!!
スクールに通うお金がなければ不可能か? そんなことはありません。
スクールに通わなくても「資格」を取る方法はあります。
実務経験で、「国家資格」を取ることです。 数年かかりますが、1級があれば何をするにも肩書きとしては有利です。
この方法は何より、お金がかかりません。 むしろ働きながらなので、お金を稼ぎながら勉強もできて資格も取れるというコースです。
ただ、単に「先生になりたい」という人にはあまり向いてません。 もっと仕事の幅が大きくてやりがいもキツさも数倍だからです。
おそらくこのコースで資格を取った場合、「先生」にはおさまらずに デザイナーや独立開店を選ぶのではないかという気がします。
番外:これとこれとこれとではどれがいいか?
いくつかスクールを調べて、資料をもらって、値段やコースの比較をしてみて、
で、迷った。 というお便りを頂きます。
でもですね、正直、わたしはそのスクールを知りませんので、 「どれがいい」なんて言えません。
結局は、各スクールを選んだ場合の良いところ、よくないところ をもう一度整理して、(先々の仕事の範囲の選択肢も考えましょう)
自分がどの点を優先したいか、考え直す作業をしていただくことになります。
・それぞれのスクールを選んだ場合にどんな仕事ができるのか。 ・お金は開業までにいくらくらいかかりそうか。
・時間はどのくらいかかりそうか。 ・生徒集めはどんな感じになりそうか。 ・仕入れのツテは手に入るか。 ・仕事は他に選択肢はあるか などなど、 要点ごとに利点不利点を書き出して比較しましょう。
その条件と、自分の希望とを比較して、 もっとも希望が叶いそうなところを選ぶのが良いでしょう。
それでも迷ったら、 3箇所くらいだったらおためし入学(体験コース)すればいいだけのこと。
これらのことをきちんと考えながらレッスンに参加すれば、 「このスクールが自分の考えることができるかどうか」 は分かりますし
仕入れや開業についてなどについては、 直接講師に質問すれば「このスクールだとどんな活躍ができるか」 知ることもできます。
自分の希望スタイルに合わせた質問くらいできなくては、 開業後の生徒集めや仕入れ業者探し・関係者への売り込みなんて無理です。
質問や体験レッスンも 「怖くてできない」 ようならば 独立開業自体諦めた方がいいでしょう。
*ワンポイント情報 スクールに通いはじめたら、担当の先生に具体的に 「ここで働きたい」「自宅で開業したい」などアピールし、アドバイスを求めれば その先もかなりラクになります。 担当の先生は「先輩」ですからなんでも聞きましょう!
どんな道でも目的地は一緒
どんな道を選んでも、 スクールに通っても通わなくても、 資格があってもなくても、 「先生」になることはできるんです。
どんな道でも 「目的地が先生であること」 に変わりはありません。
スクールや資格は 「必須ではないけれど、あった方がいいもの」 にすぎません。
「スクールのお免状」 や 「法人・国家の資格」 は、あくまでも 単なる 「肩書き」 「バックボーン」 にすぎない ということを忘れないようにしましょう。
持っていれば使いこなせるというものでもありませんし、 持っていない人が何もできない訳でもありません。
あれば確かに ”便利でラク” ですが ないと不可能な訳でもないんです。
実力と、根気強い営業能力さえあれば、 なんの資格も取らなくても、バックボーンがなくても、 納得いく自分なりの成功を収められる人もいます。
逆に、教室に通ってお免状と資格はもらっても、 営業努力も指導努力もしないでいると、 このバックボーンはただのムダになります。
バックボーンがなくても、やる人はやるから成功し、 バックボーンがあっても、やらない人はやらないから成功しない。
それだけのことです。
資格や教室のコネはあくまでも 「早く話を進めるためのカード」 であることを覚えておきましょう。
本当に大切なのは、本人のやる気です。
自分が納得さえしていれば、どんな道でも同じです。
◆お花屋さんになりたいあなたへ◆
★お花屋さんで働き始めた新人スタッフさんに贈ります↓★
はじめて花屋さんで働くとき、あまりの待遇と、仕事の教えてもらえなさに
辞めてしまうスタッフさんの多さを私は17年間見てきました。
『本当の花屋さの仕事とは何なのか』を誰も教えてくれない現実。
本来はそのお店の店長さんや先輩があなたに伝えてくれるべきモノ。
でも、それが得られない環境のあなたに、先輩店長としてのわたしから贈ります。
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