咲ききっていないのにぐったりしてしまったら
家でお花を飾っていると、花が咲き終わるよりも前に
花首が でれっと下を向いてしまうことがあります。 特にバラの場合に多いですね。
これを、 『水が下がった』 状態といいます。 花がちゃんと水を吸えていないのです。
そこで、再び花に水を吸わせます。 これを、 『水揚げ(水上げ)』 といいます。
でも、ここでも「水切り」しなくて大丈夫。
実践! お花屋さんの水揚げ方法をお見せしましょう!!
簡単ですので、肩肘張らずにやってみてくださいね。
花屋さんがやる方法 =「時間も手間もかからない」 からこそやっているんですから!
だって、手間ヒマかかっちゃったら、仕事が進まないでしょ?
だから、簡単!にできる方法です。
本に載ってるのよりず〜〜っと ラクちんですよ〜!^0^
基本の簡単水揚げ法!
1.準備
こんなふうに、グッタリしてしまったら・・・
まず、花を取り出して茎をよく洗います。 花びんも洗剤でよーく洗います。
そして、水を入れます。 ふつうでいいです。(水深5cmくらい)
新聞紙を1枚、用意してください。
ハサミを出したら、スタンバイOK!
↓
2.新聞に花を乗せる
新聞紙を片面サイズに折り、テーブルなど平らなところに置き、
その上に、新聞の左上スミに花の頭が来るように、写真のように置きます。 (花が小さい場合は、このくらいのバランスになるように新聞を折る)
花は、垂れた首や葉っぱを、なってほしい形、 つまり、上向きに手で整えます。
*左利きの人は、 逆に右上に合わせます。 *完全な対角線ではなく、 写真のように置きます。
*「なってほしい形」にしておくのが最大のポイント!
新聞紙は、ギプスです。 花が下を向いたまま包むと、下向きに矯正してしまいます(意味ナシ;)
↓
3.新聞紙で花を巻く
花の形を整えたら、左下から新聞紙で花をくるんでいきます。
20本くらいまで、ひと包みでOK!
巻き方は、手巻き寿司と一緒。
ロールケーキも伊達巻も一緒(笑)
最初だけ、花をくるみ込んだらしっかりとキュッと締めます。
その後、くるくると回して新聞紙を巻き取ります。
花を上向きに整えるのがムズかしいよ! って言う人は、立って花を下向きに持つ方法もあります。
花は何もしなくても、、自動的に重力でキレイに上を向きます。
そのかわり、新聞紙の扱いが慣れないとちょっと難しいかも?
↓
4.巻いたらテープで留める
新聞紙を巻き取ったら、セロテープで2・3箇所留めます。
くっつけばいい(新聞がゆるくならなければOK)なので、テキトーに。
新聞を巻き取るとき、新聞紙が茎の下まで来てしまうと 茎を切るとき大変になってしまいます。
茎は、新聞から10cmくらい出るようにしましょう。
新聞が大きいときは、途中で折り返すとキレイに巻けます。
巻き終わったら、緩くないかどうか、
上向きにして上から見てみましょう。
新聞紙が花にぴったりとくっついていて、
花がしっかり上を向いて固定されていればOK!
緩くて、下を向いてしまったりグラグラするようなら 巻きなおします。
逆に、キツく巻きすぎて花がつぶれていてもNG×。 巻きなおしましょう。
↓
5.切って水に入れる
あとは、茎を切って水に入れるだけ。 ここでも「ただ切るだけ」でOKです。
ただ、ぐったりした(水が下がった)時は、茎にバイキンが詰まっていることも多いので、茎を長めに切ります。
最低1cmは切りましょう。 ひどい状態のときは10cmくらい、ざくっと切ってしまいましょう。
茎が短いほうが、水の上がり(吸い込み)が良くなります。
切ったら、なるべく早く水に入れます。 とにかく早く!
余計な空気を吸い込んでしまわないようにするためです。
*ちなみに、「水切り」すると、水圧+
茎の中に空気が入らないので、「より良い」んです。
なので、もしできるのであれば、水切りのほうが「より良い」ですが
実際には、そこまでしなくても、無事に水を吸い上げてくれることが多いです。
これでも水を吸いにくいときに、「水切り」をやってみるといいでしょう。
↓
6.水揚げ完了!
そのまま涼しいところに置き、
1〜2時間ほど経ったら、新聞紙をはずします。 これで完了!!
バラも中の「しべ」が見えるまでちゃんと咲きます^^
新聞紙をはずすときは、
はじめ少しほどいてみて、
シャキっとしているか見てみましょう。
まだ茎がフラフラするようなら、
新聞を巻きなおしてさらに2時間ほど待ちます。
特にバラの場合は、
ちょっと時間を長めにしたほうがいいかも。
*花は、直射日光やエアコン・扇風機の風を避け、 なるべく涼しい暗めの場所に置きましょう。
(切り花を飾るときは、常にこころがけると長持ちしますよ^^)
*水揚げをしても、シャキっとしないこともあります。
茎の中がバイキンで侵されてしまっていたり、 完全に水がなくなって死んでしまった後だったりすると
水揚げをしても復活しません。 この場合は、あきらめましょう><
でも、単に水揚げがうまくいかなかった、という場合もあります。
もう一度チャレンジしてみるなら、次の『上級編』の方法をおすすめします。
*ちなみに・・・ 写真は2006年6月中旬に自宅で撮ったものです。 日中の気温は27度前後。冷房ナシ。昼間は仕事のため締め切り(さらに暑!)。
バラの品種は「サリー」。 購入してから4日後の夕方に新聞を巻いて5日目の朝に新聞を取りました。
7日目まで咲いて枯れました。
ぐったり度がひどいときは
あまりにも、
「花首もグッタリ、葉っぱもシナシナ・・・・ほんとに大丈夫???」 というような場合は、もうひと手間かけます。
花を新聞で巻く前に、葉の『裏側』に霧吹きで水をかけます。
『葉の裏』です。オモテ側ではありません。 このとき、花には水がかからないようにします。
*葉の裏には、呼吸口がたくさんあって、ここから水も吸収できます。
茎からだけよりも、葉のウラに水をかけると効率がよくなります。
花びらは、水がかかるとシミになったり、腐りやすくなるので なるべく水がかからないようにします。
そして、花びんの水を限界までたっぷり入れておきます。
(とはいっても、花が漬かってしまわないところまでにしましょう)
そして、最低2時間。できれば4・5時間くらいそのままにしておきます。
その後、新聞を取ります。 この時に、花びんの水も通常の量(5cmくらい)に減らします。
(花首ギリギリまで水に漬けたときは、2時間くらいで水を減らしてください、窒息しちゃうので^^;)
上級編! 花によって切り方を変える
上で紹介した方法では、ハサミで切っていますが、 植物によっては、ハサミで切るよりももっと水を吸いやすい方法があります。
ここからは、ちょっと上級編ですが、
成功率がグンとアップするのでよかったら試してみてくださいね^^
手折り | 割込み | 湯揚げ
手折り 〜菊の仲間、トルコききょう、ストックなど〜
言葉どおり、切るかわりに 折る 方法です。
・菊 ・スプレーマム ・マーガレット ・ソリダゴ
・トルコききょう ・ストック ・雪柳などの細い枝 など
でも、ただ茎を手で持って折ろうとしても、 『くにゃっ』と曲がってしまったりしてうまく折れません。
そこで、カンタンに折れる方法を2つ紹介します! どちらも、左利きの人は手を逆にしてください。
・机を使って折る
・ハサミを使って折る
割込み 〜枝モノ、茎の木質化したもの〜
木の枝や、枝のように固いものは、切るだけではなく、割りこみを入れます。
(雪柳のように細くて、上の方法で折れるものは折ったほうがカンタンです)
なお、切ったら、枝ものは、たっぷりの水に入れましょう!!
*たくさんの水を必要とします。水が少ないとすぐなくなってしまいます。
また、枝は重いので、水が少ないと花器が倒れて危険です!
折ることができない枝もの
この絵の3段階すべてを行ったほうが吸い上げはよくなります。
割って裂く代わりに、カナヅチで砕いてもいいです。
が、枝が固くて裂くのが難しいときは一番左の、割るところまででもいいです。
枝が太いときは、さらにヨコにも割目を入れたほうがさらに○。
ちょっと特別な場合も教えておきますね。
・あじさい、ライラックのように、枝のなかに『ワタ』がある場合
・枝が太すぎてハサミで切れない場合
↓枝の切り方のビデオもあります^^
↓マーガレットや千両などは「茎を叩いてつぶす」のもアリ。 すみません、実演はないですが 千両で解説。
湯揚げ 〜白い液体が出るもの、茎が空洞のもの、ほか〜
『湯揚げ』 というのは、切った後、水でなくて一旦お湯に入れることをいいます。
といっても、熱湯では茹で上がってしまうので、少しさまします。
また、あまり深くお湯につけると痛むので、ほんの少し(1〜2cm)だけを湯に入れます。
水を吸い上げる力が弱い花 や、
茎を切ると白い液が出て、導管をふさいでしまう花 に有効です。
例: ダリア スカビオサ アスチルベ われもこう 細咲きのケイトウ ブプレウルム アルケミラ ストック
ブルースター ユーフォルビア はつゆきそう など…
*湯につけた部分は早く傷み、腐ってしまうので、やらなくていい花(切るだけで水があがる花)にはやらない方がいいです。
*湯揚げをするのは、
1.茎の中にたまった空気を抜いて真空状態にし、 それから水に入れることで花が水を吸うのをサポートするため。
(難しいかもしれませんが、気圧の差を利用しているのです)
2.もうひとつは、導管をふさいでしまう白い液の出るものはそれを溶かすため です。2.の場合は、湯揚げでなく水の中で洗って取り除いても構いません。
では、やり方を説明しますね。
まず、花びんに水を入れたものと、沸かして少しおいたお湯を用意します。
両方使いますので2つを隣に置いてくださいね。
↓
新聞で巻いた花の茎を切り、すぐにお湯に入れます。 このとき、図のように、茎を斜めにします。
こうすると、茎の中にたまった空気がぶくぶくと泡になって出て行きます。 ブルースターなど液が出るものは白い液が溶け出すので、軽く振ってよく溶かします。
*新聞紙はお湯につけないこと! あくまでも 切り口だけ をお湯につけましょう!
↓
30秒ほどで、空気泡がなくなります。(液もほぼ止まります) そうしたら、湯から出してすぐに深水につけます!!
*ここでゆっくり作業すると、せっかく抜いた空気がまた茎の中に入ってしまいます!
ここだけはとにかく、すぐさま水に移せるように手早くやりましょう!!
*ブルースターなど白い液が出る花の場合は、水の中に手を入れて切り口を軽くこすり、
液が固まっていたら取り除いておきましょう。 液が残っていると導管がつまってしまい水が吸えません。
★こういう動画は メールマガジンで配信しています★
あなたのメールボックスに届けるには↓こちらから^^
なお、花の本を見ると、よく 『切り口を焼く』 『ミョウバンを使う』 『すべて湯揚げせよ』 等等…
書いてありますが、そこまでしなくても水はちゃんと揚がります。
もちろん、書いてあるとおりの方がより良いことは確かですが、 あなたが、この道を突き詰めるプロと同じことをする必要は全くありません。
(この考え方は、ガーデニングでもまったく同じです!)
「基本の水揚げ法」 でほとんどの花は大丈夫です! ガチガチに考えては、長続きしません。
手を抜けるところは程よく手を抜いて、できる範囲で楽しみましょう!
|